書き起こし▼
澤)お休み中の別所哲也さんに代わって澤田智洋と
小)小林涼子がお届けしています。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO
澤)ここからはMORNING INSGHT。今朝は障害のある社会をデザインで変える株式会社方角代表の方山れいこさんをお迎えしています。よろしくお願いします。
小)おはようモーニング!
全)おはようモーニング!
小)さて、まずはですね、ちょっと方山さんのプロフィールをご紹介させていただければと思います。多摩美術大学で建築を学んだ後、東京藝術大学大学院でメディア映像を研究、デザイン事務所でUI/UXデザイン、空間デザイナーとして活動し、2020年に独立。デジタルメディアを中心としたデザインなど、さまざまなアウトプットを行い、2021年に株式会社方角を設立されました。
澤)すごい、学んできたことが多岐にわたっているんですけれども、なんかこれは何か意図してとかなんですか?
方)いや、あのただ飽きっぽいだけですね。
澤)あー、いいですねー、なるほど、なるほど。でもあれですか?ここまで通ってきた道とか、学んできたことがすべて今の仕事に生かされてる感じなんですか?空間デザインとかuxデザインとか。
方)そうですね。一見、全く違う分野という感じがするんですが、こう考え方とかはすごく似ている部分があるかなというふうには感じますね。
澤)まあ、そうですよね。手段やアウトプットが違うだけで、目的は結構共通してたりとかするし。
方)そうですね、はい。おっしゃる通りだと思います。
小)方山さんが福祉や、障害のある方のためのデザインに興味を持つきっかけになったお仕事が昨年、グッドデザイン賞も受賞した。環境音を可視化する装置、エキマトペだったとか。エキマトペっていうのは、あのオノマトペのことなんですかね?
方)あ、えーと、駅のまあアナウンスとか電車の音とかを、そういう環境音とかをAIが分析して可視化して、文字とか手話とか、あとはオノマトペとして、ホームに設置された画面に映し出すっていう、そういう装置なんですけれども、もともと富士通さんが起案されたもので、私たちはデザインとして関わらせていただきました。
澤)これってどういう音が表示されるんですか?なんかガタンゴトンとかプルルルルとかそういう感じですか?
方)そういう感じです。キンコンカンコーンとか
澤)うん、それってあらゆるそのホームに鳴ってる音が反映されるんですか?
方)そうですね。だいたい反映されます。
小)それが、文字で見えるというとこなんですね。面白い。
澤)僕も福祉の世界にいるんです。けれども、やっぱり耳が聞こえない、聞こえづらい友人たちが電車に乗るときに発車ベルが分かんないから、よく挟まれそうになるっていう感じよく聞いてて、そういったことの解決にもつながるんですね、
方)そうですね。なんか耳の聞こえない聞こえづらい方にとって、駅ってすごくあの危険な場所っていうふうな認識があるみたいで、あの電車が隣をビュンでこう走っていく瞬間とか、まああの彼らはわからないわけで、そういう瞬間とかすごく怖いっていうふうにおっしゃることが多かったりするんですね。
澤)ちなみに、何故、どういうきっかけでなんかはあのそこに関わるようになったんですか?
方)これはですね。そのエキマトペの富士通の担当者の方が私の大学時代の友人だったんですね。あのまあ、エキマトペとか2回やってるんですけども、1回目が2021年にやってて、もう1回が2022年にやってるんですけど、21年のほうで、あのまあ最初に呼んでいただいた時は、もう本当に3日間しかやらないイベントだったので、小回りが利くデザインの会社を探していたということで、そういう知り合づてから紹介、たまたま紹介していただいたっていうものです。
澤)じゃあ、もともと狙って福祉の仕事をしようとしてたわけじゃなくて、ある種、成り行き上というか、
方)全くなかったですし、正直、興味がそんなになかった分野でした。
澤)いやでも、結構福祉の業界に限らず、ある種の素人の方がどんどん入ってくることで、なんかすごい活性化されてみたいなことが起きているので。多分、方山さんが福祉に来た事であるいは聞こえづらい方の世界に入ってきたことで、いろんな新しい波及性が生まれるんじゃないかなと思うんですけど、
小)そのね、環境音とかについてこう。まあ、実際に利用された方々からの、反応みたいなものを、例えばその3日間とかね。あったんですか?
澤)気になりますね。
方)そうですね。あの最初の21年の方は、あの告知とかあのほとんどしていなくて、ただまあSNSですごく話題にしていただいて。あのまあ、例えば「今まで、その活字だけの世界で生きてきたけど、こういう楽しい音が出てくる。あの世界になってなんかすごく楽しくなった」とか。あとはまあ、「自分の息子が耳が聞こえるんだけど、自分が耳が聞こえなくって、息子が電車の音をマネするんだけど、何の音なのか、分からなかった。それがエキマトペを見てわかるようになった。」とかそういう意見をいただいたりとか、そういう予想もしなかった角度からいろんな意見をいただくことができました。
澤)あれですよね。駅の音だけじゃなくて、あのあらゆるものに応用が効くんですかね?例えばラジオも、あのラジ。らじ、らじ、ラジマトペできるんですか?
方)できると思います。ぜひやりたいですね。
澤)それってなんか具体的にどうどうすればいいんですか?ね?なんかラジマトペってどういうUI/IXになってるんですかね?
方)そうですね。例えばなんですけど、おふたりの笑い声とかを学習させて、AIに学習させて、あの普段はまああのお話しされている文字とかは活字で出るんだけれども、笑い声はちょっと面白い、ポップな文字で出てくるとか。そういうこととかできたりするかもしれないですね。
小)あとジングルとかいいんじゃないですか?
澤)あー、確かに確かに確か
小)ジャンジャンジェイウェ~ブ(ジングルの声マネをする)
澤)確かに確かに確かにそのところが楽しくなったらいいですよね。
澤)それいいじゃこの収録してる様子を何かしら動画配信して、その画面内にそのラジマトペを出して、今おっしゃったようなシステムを駆動させてみたいなことだったらできる。あ、それはすごい。もうすぐやりたいくらい。
方)ぜひぜひ!
小)今年の6月には、東京のさまざまな課題解決に向けたスタートアップピッチイベント。
アップグレードウィズ東京で、方山さんたちの方角が、デザイン・総合監修を担当した株式会社アイシン、早稲田大学が開発した「雰囲気応援可視化システム」というシステムが優勝したとか。まさにこういう雰囲気ですよね。
澤)「雰囲気応援可視化システム」っていいですね
小)そういった雰囲気を可視化していく、笑うとか楽しいとか、その音を可視化していくっていうのがこちらについて、ちょっとお伺いしてもいいですか?
方)はい。こちらはですね、株式会社アイシンさんっていう自動車の部品とかあの普段作っていらっしゃる会社さんと、あと早稲田大学さんがその環境音を可視化するっていうあのシステムを開発したんですね。それの総合監修として、うちも携わらせていただいて、そのシステムがそのアップグレードウィズ東京っていうあのピッチイベントで優勝をさせていただいて、そのアップグレードウィズ東京で優勝すると、2025年に行われるデフリンピック、東京デフリンピックで、活用をさせていただけるっていうことで、現在、東京都さんと、いろいろ活用に向けて進めているっていうその段階です。
小)ちなみに、どんな雰囲気を応援するんですか?
方)例えばあのまあ、デフリンピックで使用するものなので、主にスポーツの観戦で使います。はい。あの、例えば卓球の音、卓球のこうラケットとかポンポンみたいなとか、あとはあの靴を踏ん張るキュッて音とか、そういうものを可視化して、オノマトペやアニメーションにするっていう新しいスポーツの観戦をを提案するっていう。そういうシステムです。
澤)面白いですね。オノマトペって日本が異様に発達してるじゃないですか?で結構アメリカとかから見るとチャイルディッシュって言われて、子供っぽいって言われるんだけれども。でも、僕らからするとそれは世界を捉える立派なあり方だし、やり方だし、で、もともと手話自体がその雰囲気を伝えるじゃないですか?表情、身振り手振りだから、その手話らしさもそこに移行されているし、あるいは日本のマンガ文化みたいなのもすごい溶け合ってるし、だからすごいなんか日本っぽいというか、日本かける…
小)ある種のカルチャーみたいな。感じに捉えられるかもしれないですね。
方)そうかもしれないですね。
澤)なるほど。
小)じゃあここでですね。ちょっと一曲お届けして。さらに、後半もっとディープにお話しを伺っていきたいと思います。
ーー後半
小)MORNING INSGHT。今朝は障害のある社会をデザインで変える株式会社方角代表、方山れいこさんをお迎えしています。引き続きよろしくお願いします。
全)よろしくお願いいたします。
澤)方山さん、次々と新しいことをやられてますけど、あれですかね。今年も聴覚障害者の方のための求人サービス「グラツナ」を立ち上げたとのことなんですけど、これどういう特徴があるのでしょうか?
方)これはですね、いろいろその聴覚障害者の方々のあの課題をいろいろ深掘りしていく中で、雇用っていうのはすごく課題なのかなっていうふうに感じたんですね。なかなかこう上手くコミュニケーションが取れない、職場と取れないとか、一見、やっぱり耳が聞こえないっていうのって、あの見た目じゃなかなかわかりづらいので、そうですね。理解を得られないとか、そういうところ、そういう職場が多くて、こうすぐあの辞めざるを得なくなってしまう。なんかそういう課題を解決したいなと思って。世の中、その障害者雇用のサービスとかサイトってたくさんあると思うんですけども、だいたいその障害者っていう、あのすごく広い人たちを、ひとくくりにしているみたいなところがあって、もうちょっとその聴覚障害に関しては、ひとりひとりやっぱ全然違うので、きめ細かなあのサービスが必要なんじゃないかっていうふうに思って、障害に特化した求人情報サイトを立ち上げました。
澤)いいですね。結構、あの聴覚障害の方への情報保障って、手話通訳者の方が必要だったりとかして、あの特殊な手間がかかるから割とあれですよね。障害者雇用に関しても後回しになったりすることもありますよね。
方)そうですね。あの聴覚障害者自体の雇用率って他の障害者に比べては高くなっているんですけれども、その離職率がすごく高いっていう部分があったりするんですよね。あのおっしゃる通りその手話通訳の問題もそうですし、手話を使わないって方もいらっしゃったりするので、そういった方はまた別の配慮が必要になってきたりとか、そのひとりひとりその配慮、必要な配慮が全然違ったりとかするんですよね。そういうところに、この職場はこういう配慮ができますとか、こういうことを推奨していますとか、まあそういうところを求人の中にきちんとおり込むことによって、その求職者の方が、この職場だったら、ちょっと働きやすそうだなとか、あの、この職場はちょっと厳しそうだなとか、そういったことをあの求人の段階から、あのまあ判断することができるっていうものになっています。
澤)それって、企業側に対して聴覚障害者の方は、こういう配慮があれば働けます。みたいな啓発みたいなことも行っていくんですか?
方)はい。過去に聴覚障害者を雇用された企業さんもいらっしゃいますし、今回初めてっていう方もいらっしゃるので、その初めての企業さんには、啓発したりとかあの、そういったことはしております。
澤)ちょっと私、押していいですか?(拍手の音が鳴るボタンを押す)
いやーー素晴らしい。
小)ね、それで雇用される方がね。増えると、さらにね、皆さん活躍の場がね。増えるっていうことになるんで、やっぱすごい素敵だなと思いますね。
方)ありがとうございます。
澤)いいですよね、だから、ふわっとダイバーシティとか、インクルージョンって言われるんだけれども、おっしゃる通り障害者というひとりはいないし、その中には、本当にさまざまなカラー持った人がいるし、だから聴覚障害の方に特化したUI/UXデザインとか、雇用のあり方に突き進むのはすごい大事なことですね。
方)ありがとうございます。
小)逆にね、わたしたちもどういうふうに受け入れていったらいいのか、どういうふうに一緒に働いていって、どうしたら彼ら彼女らが輝ける場所を作れるのかっていうのを教えてもらえるっていうのもね。それはすごく助かりますし、相互にこう歩み寄りながら一緒に働いていくということで、逆にその環境自体を良くするっていうね。取り組みにもつながっていくと思うので、すごい素敵な取り組みだなあなんて思います。
方)ありがとうございます。
小)方山さんがこう手がけている、このご利用されている方の反応?このプロジェクトでご利用されている反応のこととか、ちょっとお聞きしてもいいですか?
方)まず最初にそのグラツナに関してで大丈夫ですか?グラツナに関しては、やはりこういう聴覚障害に特化した記事サービスって今までなかったので、そういう部分ではあの非常に好意的な意見をいただいたりとかしておりましたけれども、あの実際、企業さ側、その募集をかけた側、の方からのご意見をいただくことがあって。理想の方に出会えたっていうふうにおっしゃっていただいたりとかすることもあって、すごくやってよかったなと思っております。
小)そんな方山さん、今後の目標、夢など、最後にちょっと教えていただければと思います。
方)えーと先日、韓国に出張に行ったんですけど、世界ろう者会議っていうものに出席しまして、あの世界中の耳聞こえない方が2000人ぐらい集まって、そういうイベントだったんですね。
小)すごい!
方)耳聴こえるんですけど、ちょっとあの遊びに行かせていただいて、まあそこでたくさんの色んな国の聴覚障害者の方とコミュニケーションをとらせていただいたんですけども、その中ですごく思ったのは、日本だけじゃなくて、世界的に聴覚障害者の課題ってたくさんあるなあっていうふうに思ったので、これからは日本だけでなく、世界中の聴覚障害者の方が幸せになるような、なれるような聴覚障害者を聴覚障害を中心とした障害者のかたが幸せになれるような、そういう社会をつくっていきたいなというふうに思っております。
小)ありがとうございます。
澤)すごい、全く期せずしてそっちにどんどん流れてるっていうのが、なんか保身に全く逆らわずに生きてる感じがする。
小)素敵ですね。ありがとうございましたモーニングインサイト、今朝は株式会社方角代表、方山れいこさんをお迎えしました。ありがとうございました。
澤)ありがとうございました!
方)ありがとうございました!