近藤)デザインの力でバリアフリーな社会を目指す株式会社方角の代表方山れいこさんをお迎えしました。はじめまして、よろしくお願いします。
方山)よろしくおねがいします。
近藤)方山さんは多摩美術大学で建築を学んだ後、東京藝術大学大学院でメディア映像を研究、デザイン事務所で UI UXデザイン、アプリデザイン、あと空間デザイナーとして、活動し2020年に独立。デジタルメディアを中心としたデザインをしたあと、様々なアウトプットを行って2021年に株式会社方角を設立されました。
まず方山さん、建築を学ばれていたんですね
方山)そうですね。最初の興味は空間とか、建築デザインとか、そういうところでしたね。
近藤)そこから方山さんのお仕事でまず注目したいのが、あの耳もきこえないとか、きこえづらい人に駅のホームの音や案内を視覚的に分かりやすくする装置、「エキマトペ」のデザインなんです。これホームに流れるアナウンスだったりとか、電車の発着音などの情報を文字の大きさとか、動きとか、形で表現するっていうものなんですよね。非常に興味深いものなんですけど、どんなものといえるんですか?
方山)そうですね、今ご説明いただいた通りなんですけれども、駅って電車の音とかホームに流れるアナウンスの音、そういったものっていうのはきこえない人にとっては、見えないきこえない情報として、入ってこないものなんですけども、それをこう可視化することによって耳のきこえないきこえづらい人にもまあそういった。駅の視覚的に伝えるというそういうものですね。
近藤)テレビとか、見てても例えば字幕付けるとなんかこうちょっと効果が流れると、かっこ(効果音)だけですもんね。
方山)そうですね。結構そういうその字幕だけの世界が多いと思うんですけども、このエキマトぺに関してはもうちょっとオノマトペっていう、まあそのピンポンとかみたいなそういう文字をね、文字をデザインして表示するっていうものなので、すごく楽しいものになっていると思いますね。
近藤)今ちょっとね、資料を見させていただいているんですけども、例えばピポンひとつとってもちょっと音符マークが入ってたりちょっとポップな形で動きがあるようなレイアウトになってたりしてますよね。これやっぱりそうするときこえてるから、そのきこえない人もその視覚的感覚っていうのはどれぐらいのものなのかっていうのはあくまでイメージでしかないと思うんですけども、こんな感じかなっていうのは非常にこう音に近いんじゃないかなと私は想像するんですけども、、
方山)ありがとうございます
近藤)だから普段きこえてる方山さんの音をそういうふうにデザインしている感じなんですよね。
方山)そうですね。このお仕事については、そうでしたね。
近藤)エキマトペがこの生まれたきっかけってどんなとこにあったんですか?
方山)もともとあの富士通さんのものなんですけども、富士通さんがろう学校の子供たちに向けてワークショップを行ったんですね。その内容が未来の駅ってどんなものになっているのかな?みたいなそういうもので、子供たちのアイディアの中から出てきたものがエキマトペに近いものがあって、これをちょっと実現しようということになりまして、私その最初に呼ばれた時は全然耳のきこえない人にあったことなかったんですけれども、そのお仕事いただいて、で
プロジェクトに参加してみて、ああ、こういうことで、悩んだりとかこういうことで、大変な思いをされている方たくさんいらっしゃるんだっていうふうにすごく気づかされまして。はい。すごくいい経験でしたね。
近藤)そこから膨らんでいったという、やっぱり子供たちの発想ってすごいですね。
すごいですよね。
近藤)そうなんだそれいいね~っていうのがいっぱい出てくるわけですよね。視覚的に訴えるデザインをする上で、何か結構意識することとか、大切することってどういうことですか?
方山)そうですね。いろいろあったんですけれども、まず元々やっぱり駅ってすごく危険がいっぱいあるところなので
近藤)いっぱいですよ!
方山)表示の仕方とかで使っちゃいけない色とかもあったりするんですよね。まずそこを遵守しなければならないというところが一つ。そのルールの中でどうやったら見やすくなるかとか、情報が多すぎるとよくないよねっていうことが出てこないっていう。
それもいろいろ考えながら作っていきましたね。
近藤)パッと目がいくようにだけど、情報が多すぎてもそれを読んでる間にまた違う危険が訪れたりってことも同時に起きうる場所ですもんね。
方山)そうですね。だからアナウンスの文字に被せたりしてはいけないとか。手話のワイプもあるんですけど、手話のワイプにも被せると手話の情報がきちんと伝わらなくなってしまうとか、そういったところも考えながら作ってましたね。
近藤)その中でいかにパッとすぐ瞬時に伝わるかってことを考えそうですね。いろいろ試されるものがありますね。
方山)いろいろ、そうですね。
近藤)実際に利用された人たちから声って届いてますか?
方山)このエキマトペはSNSなどですごく話題にしていただきまして、本当たくさんの当事者の方からお声をいただいて、今まで字幕の世界でしか生きてこなかったんだけれども、活字の世界でしか生きてこなかったんだけれども、音がこういうものなんだということがわかったとか、
近藤)イメージが湧くんですかね。
方山)イメージが沸いたとか、あとは子供がきこえるけど、自分はきこえないっていう方が子供がいつも音をマネするんだけど、なんの音なのかわからなかったっていうふうにおっしゃっていて、でエキマトペ見てわかったっていうふうに言ってくださった方とかもいらっしゃいますね。
近藤)なるほど~人と人のコミュニケーションのちょっとブリッジになる部分も出てきてるんですね
方山)そうですね。思わぬ方向でそういう形でブリッジになりましたね。
近藤)今年の6月にはスタートアップピッチイベント、UPGRADE with TOKYOで方山さんたちの方角がデザイン総合監修を担当し、株式会社アイシン、早稲田大学が開発した雰囲気応援可視化システムっていうシステムが優勝したんですね。
方山)はいそうです。
近藤)これどういうものですかね。
方山)これは元々このUPGRADE with TOKYO、東京都が主催しているスタートアップピッチイベントで何回もやっているものなんですけども、今回は私たちが応募したものが2025年に東京都でデフリンピックっていう大会が行われるんですね。デフリンピックって何かというと耳のきこえがきこえづらい人たちのためのオリンピックが東京で開かれるんですけども、そこに向けてそのシステムを東京都と一緒に開発していきましょうっていうピッチイベントだったんですけども、うちのあの会社とアイシンさんと早稲田さんが開発したあの雰囲気応援可視化システムが優勝しまして、これ何かっていうとそのスポーツの音をこのオノマトペに可視化したりとかするっていうシステムなんですけども、今私たちがやっているのは卓球をやっていて、卓球って結構音がこうわかりやすいんですよね。ラケットにピンポン玉がカンッて当たったりとか、あと靴を踏んばったとき、キュって音とか。そういう音を確かする音であ今こんな緊張感のある試合をしてるんだっていうのがまあきこえる人にもきこえない人にも伝わるっていうそういうものですね、
近藤)どれぐらいのキーからの高さできこえて、イメージできるかっていうのはそれぞれかもしれないけども、キュっていう音だよっていうことが伝わるだけでも、楽しみができるっていうのもありますよね。そうですね。
方山)新たなスポーツ観戦をご提案できるんじゃないかなというふうに思っています。
近藤)面白い雰囲気を可視化させるってすごいですね。ワールドがすごいなと思ってありがとうございます。一曲ここでお届けしたいと思います。
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近藤)この時間はデザインの力でバリアフリーな社会を目指す株式会社方角の代表、方山れいこさんをお迎えしています。あらためてよろしくお願いします。
方山)よろしくお願いします。
近藤)さあ株式会社方角の今年立ち上げたのが聴覚障害者のための求人サービスグラツナのこれはどんな特徴がある求人サービスなんですか?
方山)そうですね。エキマトペを通してたくさんのきこえない、きこえづらい方と出会ってすごく彼らが社会で取り残されている現状だったりとか、そういったたくさんの課題があるなというふうに感じました。その中でも、特に雇用に関する課題っていうのはすごく強いなというふうに思ったんですね。耳がきこえないからできないだろうって勝手に思われていることとかたくさんあると思うんですよ。彼らは能力があるはずなのにそれを企業がうまく生かしきれていない現状ってすごくあるなと思っていて、うちの会社も耳きこえないきこえづらい人たち、たくさん雇ってるんですけれども、それに関して困ったことって別にないですよね。こちらが工夫することでできることってたくさんあると思うので、もっと単純に自分でのおこがましいんですけど、うちみたいな会社を増やしたいなと思ったので、それでどうしたらいいかなっていうふうに思った時にじゃあもう求人情報サービスを立ち上げちゃおうっていうふうに思いまして、グラツナというその聴覚障害者のための特化した求人サービスを立ち上げました。
近藤)マッチングさせるってことですよね。
方山)今はジョブボードみたいな、掲示板みたいな感じになっていて、うちの会社にそのお問い合わせいただいた企業さんが求人票を掲載するみたいなそういったものなんですけれども。障害者雇用サービスとかってたくさんあると思うんですけども、聴覚障害に関しては、障害者って一口でいってもすごくいっぱい種類があるじゃないですか?その中でなかなかカバーしきれていないなっていう現状を感じていたので、聴覚に特化したものを作りました。
近藤)利用された方たちの反応はどうでしたか?
方山)そうですね。いろいろいらっしゃって本当にあっ!こんなにたくさん応募来るのねっていって単純に言ってくださった方もいらっしゃいましたし、我々もいろんな職業扱いたいと思っていたんですけれども、事務職とか、そういったものが多いのかなというふうに思っていたら意外と接客業の需要もあったりとかして、こういった形で我々自身がそう見てしまっていたなっていう部分があって、反省したりとかも急かされる部分をですね、気づかされましたね。まあそういった感じで工夫すれば別に接客業だけできるし、いろいろ可能性あるんだなっていうふうに改めて感じましたね。
近藤)なるほど。バリアフリーのこのそういった社会を目指す方山さんは今年7月に聴覚に障害を持つ方の国際会議に参加されてるんですよね。
方山)あ、そうです。世界ろう者会議という韓国の済州島で行われた韓国に参加しました。
近藤)どのようなことを感じましたか?
方山)そこでもう2000人ぐらいの耳のきこえない人たちと世界中の耳きこえない人たちに出会ったんですけれども、2000人って一部の人たちで世界には4億人ぐらいいるとふうに言われているんですね。そういう人たちがどの国にもいるんだなっていうことを改めて感じさせられましたし、みんなすごいいい人たちなんですよ。すごいいい人たちで本当に楽しかったんですね。この人たちの生きる社会をもっと豊かにできないかなっていうふうに改めて思いましたね。
近藤)世界を見ることで、よりね、日本の中で解決できる方法とか、ヒントを見つけることもきっとできたでしょうね。
方山)そうですね。
近藤)バリアフリーとデザインをする上で、方山さんっていうのは今の社会でどんな必要性を感じていますか?
方山)そうですね。バリアフリー製品と言われているものって意外と当事者が絡んでなかったりとか、勝手に健常者が作っちゃった、思い込みで作っちゃったものとか、世の中にいっぱいあるんですよね。でも、それをもっとその当事者の上流から入っていくことで、もっと使いやすくて、売れるものってたくさんできるんじゃないかなって私は勝手に思ってるんですけれども、そういったことをもう当事者が上流に入るっていうそういうものを開発したりとか、社会で上流から入っていくっていうことが当たり前になる必要があるなというふうに思っていて、それが解決できるのはまずデザインで解決できるんじゃないかなというふうに思っています。
近藤)どんどん取り組みたいことが増えそうですよね。
最後に今後の目標とか、チャレンジなどがあったらぜひ教えてください。
方山)そうですね。やっぱり今言ったことは本当にそうなんですけども、本当に根本から社会を変えられるようなきっかけを作っていきたいなというふうに思っています。
近藤)この時間は株式会社方角の代表方山れいこさんをお迎えしました。どうもありがとうございました。ありがとうございました。